何か好きなんですよね、楽屋の雰囲気って。踊りの師匠をしている姉の手伝いで、久しぶりに国立大劇場の楽屋に行って参りましたの。おしろいの匂い、鬢付け油の匂い、調子を調整する三味線の音、皷の音。それに、皆さん何故かパタパタと小走りに走っていらっしゃる。娘時代、この世界に身を置いた時のことなどをつらつら思い出したりしてみたりしてね。
今回は姉んとこの長男が初めて大舞台に立つと言うことで、一家総出で応援に参りましたの。他の家族達はしっかりちゃっかり正面客席で観ていたのに、楽屋番の私は大忙し。個室の楽屋を頂戴していたので、そこへ楽屋見舞いにいらっしゃるお客様の応対やら、化粧の準備、本衣装の着付けの準備などなど。何せ二人分のお世話ですから、まるで千手観音のような手さばき足さばき。とにかく疲れた。昔はこんなの全然平気だったのになあ、年のせい?うそぉ・・・・
いやしかしね、姉の舞台は嫌って言う程観ているものの、やっぱり甥っ子と一緒にとなると、胸にグッとこみあげてくるものがあっちゃったりするんですよね。二人の楽屋着の風呂包みを抱き締めながらずっと舞台下手で観ておりましたが、「太郎冠者ある〜か〜」ときた日にゃ、もうどうしようもない。それをまた放っておいてくれたらいいものを、大きい先生がそばに寄ってきちゃって「乾さんだけなら、おじいちゃん来なかったんだろうねー。」と嬉しそうにおっしゃるじゃありませんの。あたしゃもう「うん、うん」って頷くのが精一杯。お願いですからこういう時は、そーっと放っておいてくださいませませね。









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