家の造作などをした場合、
図らずも一家の大黒柱が事故に遭ったり病気になったり、
「命を取られてしまう」などというジンクスがあるようだ。
迷信かとも思えるが、実際にそんな例も少なくなく
気にしないわけにはいかない。
亡くなった実家の母は
「動物を飼いなさい。身代わりになってくれるから。」
と言っていた人で、実家では猫を切らしたことがない。
嫁いで間もなく、母に習って私も猫を飼った。
今のこの子(レオン)で4代目の猫(時間の経過が伺える・・・)。
最初の子(マッシュ)は半年で病死、2代目の子(マフィ)は17年も生きてくれた。
この子と同時代に、「シェルティの子いらない?」
と親戚からもらってきた犬がいた。
母犬は間違いなくシェルティなのに、
この子ときたらいつまでたっても短毛のまま、いわゆるミックスであった。
雷はもとより、少々の雨風にも「ヒ〜ンヒ〜ン」と啼いて
実にしみったれな子だった。名前は「ラッキー」。
何年か前、娘と二人だけで南の島へ行った際
海に入りたくない母を後目に、娘一人で海に入った。
今考えてみても、なんと無謀なことであろうか。
長袖に帽子、それに加えて頭からバスタオルをかぶる念の入れようで
日に焼けたくない母は必死で海にいる娘を目で追っていた。
バチャバチャと遊んでいたかと思いきや
あろうことか浮き輪は手元を離れ、
ブクブクと溺れかけているではないか。
遠浅とはいえ、大人ならいざ知らず、
子供の足では届かない深さらしい。
迂闊だったでは済まされない。
日除けをかなぐり捨て、洋服のまま海に駆け出す母親。。。
たまたま孫ちゃんらしき子供を
フロートに乗せて遊ばせていた欧米人の老夫婦が娘を助けてくれた。
聞こえないかも知れないと思いつつ「サンキュー!」と叫び
大きく手を振った。腰が抜けそうだった。
その2日後に帰路についたが
自宅へ電話した際「ラッキーが死んじゃった。」と知らされる。
空港のベンチで母娘ふたり、大泣きに泣いた。
紛れもない身代わりであろう。
そんなこともあり、やはりペットは切らせないと確信する。
3代目の猫(アッシュ)はなかなか馴染めない子だった。
私が酔っぱらって玄関のドアを開けっ放しにしたらしくて(記憶がない)
そこから逃走、行方知れず。
迷子のビラなど貼って、戻って来るかとしばらく待ってみたが
珍しい品種の猫(ロシアンブルー)、
おそらくどこかの家で可愛がられているだろうと諦めた。
4番目のこの子はまだ4歳。
レオンがいなくなるなんて考えるのもイヤだ。
それに、私と子供達にはすごくなついているが
なぜかうちの旦那には近寄らない。
旦那の身代わりなんて、きっとこの子自体不本意であろう。
あまりなつかない猫を恨めしげに見ては
「犬は飼い主に従順で、表情豊かで、絶対犬の方がいい!」
といつも旦那はそう言っている。
「そうだ、犬を飼おう!」と思い立ったお母ちゃん。
その提案に娘と旦那は喜んだものの
動機が不純だと、倅は猛反対。
身代わりになってもいいなどと思って飼うなんて許せないと言うのである。
そんなこと言われたって、もう何軒ものペット屋さんを巡ってしまっている。
目が合ったら飼わずにゃいられない。
程なくして、めでたくこの子と目と目が合った。
間もなく生後5ヶ月、名前はトランプ。
あれほど反対していた倅が命名してくれた。
自宅に帰っても同じ部屋に一緒にいるなんてことはなかった家族が
今はトランプを囲んで皆でリビングに居る。
芸を仕込んでは笑い、レオンを追いかけ回す姿を見ては笑う。
子供達だって近い将来には巣立っていく。
家族水入らずで過ごす時間、大事にしようと心底思う。









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